適格年金の積立金移管/新潟の社会保険労務士/新潟中央社労士事務所

積立金の移管が必要な理由とは?

 

平成14年4月から確定給付企業年金法が施行され、適格年金の廃止が決まり、10年以内に他の制度に移行しなければならなくなりました。ではどうして移行(積立金の移管)が必要なのでしょうか。

 

1.解約返戻金は従業員に分配されます

 

適格年金を解約すると積立金は按分して、全額従業員に払い出されます。このお金を解約返戻金と言います。

適格年金を理解していないと「何故会社のお金が従業員に払われるのか?」と疑問に思うのではないでしょうか。しかし、従業員に支払われる理由は簡単です。法律でそのように決まっているからです。

 

では、「会社が払ったお金だから返せ」と思うかもしれませんが、解約返戻金を一方的に会社が引き上げることは違法です。従業員の合意を得て解約返戻金を預かるにしても「貯蓄金管理規程」の作成、「貯蓄金に関する労使協定」の締結、「最低年5厘の金利」の付与など、手間やリスクが伴います。実際に裁判になったケースもあります。

 

 

 

2.解約返戻金は一時所得として課税されます

 

解約返戻金を受け取った従業員は一時所得として確定申告をする必要があります。計算は以下の通りです。

 

一時所得とされる金額 = 解約返戻金 ― 50万円

 

課税金額 = 一時所得とされる金額 × 2分の1

 

一方、仮に退職金として受け取ると、税金の金額は以下の通りとなります。

 

退職所得となる金額 = 退職金 ― 退職所得控除の金額

 

 

【退職所得控除の金額】

・(勤続20年以下の場合)

勤続年数 × 40万円 (80万以下の場合は80万とする)

 

・(勤続20年超の場合)

(勤続年数 ― 20年) × 70万円 + 800万円

 

 

勤続20年であれば800万の控除となります。退職金として受け取る方が明らかに税制上有利となります。

 

 

 

 

 

 

3.従業員の増税分を誰が負担するか

 

一時所得が発生し、所得が増えると、所得税や住民税など、従業員の税金も増えます。解約をしなければ従業員の税負担は発生しない訳ですから、会社が負担することが一般的です。退職金として受け取った時との税負担の差額を計算し、会社が負担することが安全です。

 

4.所得に与える影響

 

所得が増えると様々な影響があります。前述した税金の他にも保育園の入園での所得基準、家賃補助制度における所得基準など、考えられる影響を前もって調べる必要があります。

 

5.適格退職年金の資産を移管すると

 

法律で認められている制度へ資産を移管すると、従業員に払い出されたり、課税されたりすることなしに、新しい積立制度へ移行できます。中小企業向けの移管先としては、「中小企業退職金共済(中退共)」「確定拠出年金(企業型)」の2種類に事実上絞られています。(中退共は17年3月まで移管額に上限が設定されています。)

 

 

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