退職金規程と不利益変更の誤解
適格退職年金問題で大きな誤解が2点あります。一つは適格退職年金を解約すれば問題は解決するという誤解、 もう一点は従業員にとって一方的に不利益になる支給水準引下げが簡単にできるという誤解です。
1.適格退職年金を解約しても退職金規程は残る
適格退職年金は退職金制度においては資金の積立手段の一つにすぎません。よって仮に解約したとしても適格退職年金から支払った解約返戻金については、退職金の前払いとして扱うことも可能ですが、退職金規程で約束している金額との差額についての支払はまぬがれません。
2.不利益変更の問題
(1)一方的な支給水準引下げは困難
適格退職年金の解約は会社の印鑑を押すだけで簡単にできますが、退職金の支給水準を引き下げることは慎重に行う必要があります。何故ならば、従業員の同意なくして、一方的に労働条件の引下げをなどの不利益変更を行うことは禁じられているからです。
(2)従業員の同意
一方、別の見方をすれば「従業員の同意があれば、支給水準の引下げも含め、退職金規程の変更はできる」ということです。労働組合があれば組合との合意、組合がなければ従業員との個別合意が必要となります。仮に裁判などの争いが発生した時にも、支給水準引下げの合理性とともに、合意に至るプロセスが問われます。従業員の納得性の高い新制度の設計と従業員への説明、個別合意が重要となります。
(3)既得権の保護
支給水準の変更は合意があれば可能ですが、その為には条件があります。制度変更をする時点で支給されるはずの退職金金額は保証する必要があるということです。いわゆる「既得権を保護する」ということです。よって、退職金規程を確認し、現時点での支給金額を保護することがまず必要であり、今後の期間を基礎とする支給金額をどうするか労使で検討し、合意することが、退職金制度改定のポイントとなります。
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